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楽農楽写Z

西中国山地の風景だけを撮影する団塊男が定年後、広島県安芸太田町に休耕田付きの民家を借りて、田舎暮らしを楽しんでいます。豊かな自然を紹介しながら、地域の情報を発信します。       

時代が風景を作る

 坪野部落で休耕田を利用した初の太陽光発電の工事が始まった。坪野は太田川沿いのV字谷にあるが、珍しくぽっかり開けたお盆のような地形だから日照時間は比較的長い。棚田ではなく、まとまった広さがあって変形もしていないので、適地は多いように思う。休耕田は7割ぐらいだろうか、稲作をやめる人も増えている。「草刈り隊」が活躍しても、雑草が生い茂る田んぼなどがあって風景は荒れる。太陽光発電が土地有効利用の一つであることには違いない。

4612休耕田151052 
太陽光発電は田舎をドライブしているとよく見かけるようになった。福島原発事故がなかったら現れない風景だ

 近くの集落に、黄金の稲穂と黒い防草シートを敷き詰めた休耕田が並んでいる場所がある。いつも通る道だが、その落差にハッとして車を止めた。田んぼに稗(ひえ)は無く、熟れ方も均質で世話が行き届いていて気持ちがいい。休耕田は隣に迷惑をかけないためか、完璧な雑草対策がされていて感心した。形は違っても先祖伝来の農地に対する思いが伝わる。ただ、管理の行き届かない休耕田が増えていて、実りの秋になって田舎の風景の傷みが目立つ。

4598休耕田151051 
防草シートの上に瓦や川の石を置いて風対策がされている。覆いが不完全だと草が突き破って出てくる。タイヤはもったいないなぁ

 風景はゆっくり、ゆっくり変わっていく。私が子供のころ、茅葺き屋根は珍しくなかった。山の中の田舎まで舗装道路になったのは40年ぐらい前か。時代が豊かになるに連れて風景が変化することに、それほど気を止めることはなかった。35歳のとき入居した大団地は開発前、地元の人にとってはかけがえのない山だったのではないかと思う。高度成長が吹っ飛ばしたのだろう。そして今、日本の風景は人口減・高齢化が進む田舎から貧しくなっている。

 TPPが大筋合意した。安倍首相は「日本が豊かになる」と言うが、果たしてそうなるのか。丸太の関税が撤廃されたのが1951年、木材の貿易完全自由化が64年、減反開始が69年、コメの輸入が始まったウルグアイラウンドが93年。農山村はジワリジワリと衰退した。田舎に住んでみて率直に15年先は見通せない。「消費者は農産品の値下がりを期待」との報道がある。食料を自力で賄えない国の田舎に、時代が「美しい日本」の風景を残すとは思えない。

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