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楽農楽写Z

西中国山地の風景だけを撮影する団塊男が定年後、広島県安芸太田町に休耕田付きの民家を借りて、田舎暮らしを楽しんでいます。豊かな自然を紹介しながら、地域の情報を発信します。       

写真は嘘をつく

 「農業を母に。助け合いを父に。」JA共済の中国新聞28日付全ページ広告の趣旨は共感する内容だった。だが、使われた写真がいただけない。広告代理店のスタッフが思い浮かべた日本の田植え風景は、今はもうない。おそらく米づくりをしている人は、苦笑したに違いない。輪島の千枚田なら、小中学生の田植え体験なら手植えだろうが、余程条件の悪い田んぼ以外は田植え機だ。その前に機械が使えない田んぼは、既に耕作放棄地になっている。

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棚田が広がる絵になる里山だ。背景の斜面にへばりつく民家もいい。名の知れた撮影ポイントだろう。四国なのかなぁ

 広告写真だから演出されてもいい。だが、田植えは横1列に並ぶか、同じ方向に進んで行くものだ。思い思いに植えたら一直線にならないし、無駄な足跡が出来て手間が増える。第一、線が引かれていないと、どこに植えていいのか、真っすぐになっているのか分からなくなる。ディレクターやカメラマンは、画面のバランス上、6人の女性の配置を決め、向きを変えて変化を付けたのだろう。彼らにとってはイメージ通りだとしても、ありえない田植え風景になった。

 実家で、10人近い女性に頼んで田植えをしていたのは、45年ぐらい前までだった。写真を撮った覚えがある。子供の仕事は苗運びで、田んぼの適当な所へ苗の束を投げるのだが、ときには失敗して、早乙女さんの顔の前へ着水したことがある。昼食は土間や縁側に並んで賑やかだった。食後はその場に横になって昼寝。どれほど苦しい作業だったかは、この歳になって田んぼへ入って分かる。粘り強い女性たちが農村風景を作った。広告写真は別物だ。

 この写真を見た都会の人には、典型的な日本の田園風景として違和感なくが焼き付けられるだろう。しかし、田植えを引き受ける30代から50代の専業主婦はほとんどいない。昼食付き日当15,000円でも来てもらえるかどうか。それでなくても米づくりは算盤勘定に合わないのだ。半世紀前の情景が今もあると思ったら大間違い。写真や映像は簡単に嘘をつく。意図を持たないニュース、情報発信はない。現実を見抜く力が必要になる。

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コメント


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見事

さすがですねぇ〜。確かに、スタッフの中には誰も田植えの事を知っている人がいなかったんでしょうね。

川野克也 | URL | 2016-05-29(Sun)15:40 [編集]


田植え

川野 様

こんばんは。
こんなことも思ってみました。広告主のJA共済の広告担当者も、OKのハンコを押した上司も都会育ちだったりして、何の疑問も持たなかったのでしょうね。JAの中央にいる人たちは、ビルの中で仕事をしているのです。

楽農楽写 | URL | 2016-05-29(Sun)20:50 [編集]


おおせの通りです。

わたしの記憶では 田植えより苗取りが苦痛でした。

百笑 | URL | 2016-05-29(Sun)22:34 [編集]


苗取り

百笑 様

おはようございます。
田んぼにはそれぞれ名前があって、苗を育てる田んぼは「苗代」でした。今は名前だけが残っています。苗取り作業が始まるのは7時か8時だったのでしょう。裸足で入る田んぼが冷たかったことを思い出します。

楽農楽写 | URL | 2016-05-30(Mon)08:56 [編集]